黒岩重吾

6世紀も終わりに近づいたころの大和では、仏教の礼拝を巡って、神祗派(廃仏派)の大連・物部守屋と崇仏派の大臣・蘇我馬子の2人が敏達大王を中心にして対峙・対立していた。 武勇の氏族の長たる守屋は、年長で知謀に長けた馬子と話すとつい興奮し、本音を吐いてしまう恨みがあった。2人の対決は次第に熱を帯びていく。